クールな御曹司の一途な独占欲
予期せぬ美味しいランチコースをいただきながら、せっかくだから本部長に色々と聞いてみることにした。
「本部長は、最初にお会いしたときとはまるで別人のようです。どうしてそんなに他人に心を許すようになったんですか?」
さすが御曹司と言わんばかりの流れるような所作で前菜を口に運んだ本部長は、ナプキンで口元を拭いてから質問に答えた。
「そんなつもりはないよ。キミに心を許してるだけだ」
「ですから、それはなぜですか?」
「キミが素敵だからだよ」
またプレイボーイが始まった、と思い「光栄です」とテキトーな相づちを打つと、本部長は私の態度に言い方を変えてもう一度理由を言った。
「信じてくれてないようだから、信じてもらいやすい言葉で言い直すね。キミが有能すぎる秘書だからだ」
私にとってそれ以上に嬉しい言葉はなく、テリーヌを口に入れたまま顔を赤くした。
「あはは、香坂さんにはこう言ったほうが喜ぶんだね」
「や、やめてください、」
「でも本当のことだよ?香坂さんと一緒にいると安心できるんだよ。あれこれ言われても言い方が優しいからイライラしないし、痒いところに手が届くし」