クールな御曹司の一途な独占欲
「今までキミと信頼関係を築いてきた人たちだよ。その人たちも、こんな気分だったわけデショ?」
「こんな気分とは、本部長はどんな気分なんですか?」
「もうね、快感。香坂さんといると」
そういって目の前の人はニッコリ笑った。
真面目に話したのにセクハラまがいのジョークを返された私はげんなりとし、じっと本部長を睨んだ。
「ほら、もう食べてしまいましょう。役員会議に遅れてしまいますよ」
「つれないなぁ、香坂さんは」
「ご馳走さまでした」
本部長がカードで支払ったけれど、私はこれだけは譲るまいと現金を渡した。
お互いがお互いの分を支払ったのに、結果は割り勘ということになる。
なんだか可笑しくて、お店を出たとき本部長と二人で笑ってしまった。