クールな御曹司の一途な独占欲
元カレの名前は牧田さんという。
交際中は下の名前で「幸一」と呼んでいたけれど、別れた今はただの取引先の社員というだけだ。
彼は2ヶ月経った今でも、一緒に暮らしていた2DKのマンションで私が帰ってくると信じて待っている。
きちんと別れは告げたのにも関わらず。
実は私は、まだそのマンションの折半した家賃を今も払い続けている。
家賃自体は彼の口座から落ちているけれど、私はその彼の口座に半額を自動送金するように自分の口座に設定しているのだ。
そしてこれは止めようと思えば、すぐにでも止められるものだ。
それでもそれをしないのは、彼の中で踏ん切りがつくのを待っているから。
牧田さんの方もきちんと納得して部屋を出る、そのときに家賃を止めようと思っている。
私が一方的に別れを告げたまま部屋まで取り上げてしまうのは、気の毒だ。
・・・しかしそろそろ部屋を出る決心をつけてくれないと、毎月二部屋分の家賃を払っている私の家計は破産してしまう。