クールな御曹司の一途な独占欲
しかし次の週に本部長から入ってきた知らせに、私は胸騒ぎがした。
「土田産業の社長が僕に会いに来るって。来週ならスケジュール空いてる?」
「・・・はい、木曜午後2時なら空いていますよ。ご挨拶ですか?」
「そう。父にはよく会いに来てるんデショ?香坂さん土田社長見たことある?」
「もちろんです。良い方ですよ」
「じゃあその日で約束しちゃうね。スケジュールに入れといて」
「・・・はい」
土田社長がよく連れて来るのが、牧田さんなのだ。
牧田さんはプライベートではあんな風だけど、不思議なことに仕事では変わらず優秀な社員らしいから、きっとまた連れられてくるのだろう。
別れてから初めて、顔を合わせることになる。
「香坂さん?」
「えっ」
席の側で立ったまま考え込んでしまった私を、本部長は下から覗き込んできた。
綺麗な顔がすぐ近くにあって、思わず熱くなり、次の瞬間には一歩下がっていた。
「大丈夫?顔色が悪くない?」
「いえ、すみません」