クールな御曹司の一途な独占欲
本部長は納得せずに、立ち上がってさらに距離を詰めてくる。
ふわりと肩に手を置かれたあと、髪の流れに沿って頭を撫でられた。
「大丈夫じゃないよ、顔が青い。スポーツドリンクでも買ってこようか?何か薬は必要?僕買ってくるよ」
「そんな、本部長、いいですって。それに一人で買い物に行けるんですか?」
「・・・そりゃ行けるデショ。僕を何だと思ってるの」
しまった。
私のために一人で買い物に行くと言い出した本部長に感激して、つい失礼なことを言ってしまった。
「・・・すみません」
「一人で買い物に行けない男だったの?キミの彼は」
「・・・」
「その男と僕を一緒にするのは勘弁してもらえるかな?それじゃあさすがに僕も、少し気分が悪いよ」
「も、申し訳ありません!」
私は絡まったままの本部長の腕を慌てて振りほどいて、思い切り頭を下げた。
こんなプライベートなことで本部長の気分を害してしまうなんて秘書として失格だ。
本部長は本部長。
私のビジネスパートナーであり恋人でもなんでもない。
私のことを信頼してくれているけれど、今までの男性たちとは違うのだ。