クールな御曹司の一途な独占欲
しかし彼が同棲している部屋から動かないということを話すと、本部長はあんぐりと口を開けてしまった。
「だって別れたの僕と出会う前のことだよね?もう1ヶ月経ってるのに、向こうはまだキミが帰る気があると思ってるのかねぇ」
「多分、そうではないと思います。自分が動かなければ私が負けて戻ってくると思っているんです」
「なんで?香坂さんは戻らなくても不都合はないでしょ?むしろ男のほうが広い部屋に無理に一人で住むことになって不都合なはずだよ」
「・・・」
「まさか家賃を払ってあげてる?」
「半額です。折半していた部分だけですよ」
それを聞くと本部長は立ち上がり、私に手を伸ばしてきた。
「本部長?」
その手は私の両肩に置かれた。
私に近づいてくるその顔は、いつものニコニコとした表情ではない。