クールな御曹司の一途な独占欲
一瞬、たしかに本部長の言うとおり良い方法かもしれない、なんて考えてしまったけれど、私のプライベートなことで本部長にそんな迷惑はかけられない。
目の前にある本部長の瞳から逃れるように顔を背けた。
「からかわないで下さい、本部長・・・」
「香坂さん、キミはただ頷いてくれればいいんだ。今日から僕とキミは恋人。大丈夫、キミの嫌がることなんて何もしない。こんなときくらい男に頼ればいいんだよ」
甘い顔立ちなのに、なんて男らしい瞳。
頷いてしまえばこんなに悩まなくて済むのかな、この人の男らしくて綺麗な瞳に甘えてしまえば。
「ね?香坂さん」
「・・・驚きました。本部長は強引なんですね」
かすれた声でそう絞り出すと、本部長は少し満足したように私から手を離した。
「キミは押しに弱そうだからね」
「・・・それ、やっぱり私のことからかってます?」
「キミのような女性をからかったりしたらバチが当たるよ。ほら、香坂さんも僕の恋人になったんだから、そのどうしようもない彼とは早く終わりにしないとね。分かった?」
「・・・」
「返事は?」
「・・・はい」
今の返事で私は、牧田さんと関係を絶つこと、そして本部長と『恋人』になることに同意したことになったのである。