クールな御曹司の一途な独占欲
次の日からプレイボーイな本部長に取って食われてしまうかもなんて万に一くらいだけ考えていたけれど、全くもってそんなことはなかった。
本部長は何も変わらない。
ただの本部長、そして私はただの秘書。
ひとつだけ、本部長は、今日の午前中に一時間の時間休をとるよう私に指示をした。
そして銀行へ行って家賃の送金を止める手続きをしてくるように、と。
銀行で待っている間私は牧田さんへの罪悪感でそわそわしてしまったけれど、たしかに本部長が私の今の恋人で、送金を止めることはその恋人の要望なんだと思うと、自分のなかでスッキリと正当化できた。
それにもともと正当なことだった。
私は別れてから2ヶ月も時間をあげたんだから。
「おかえり」
時間休を終えた私が本部長室に戻ると、彼は書類に目を通しながら私を待っていた。
「すみません、お待たせしました。手続きは無事に済みましたので仕事に戻ります」
「良かった良かった。これで彼とは綺麗サッパリ切れたわけだね」
「はい。おかげさまで」