クールな御曹司の一途な独占欲


本部長のことをどう思っているかと聞かれても、本部長だと思っているとしか答えられない。

だって私はただの秘書だし。

何より本部長のことをどう思っているかなんて本気で考え出したらこちらの負けだと思うのだ。

あっちが私に本気になるわけがないんだから。


「手強いなぁ」

「ところで本部長、ちょっとご相談があるのですが」


私の方はここからが本題だった。

朝から本部長の機嫌をとっていたのは私のお願いを聞いてもらうためだ。

本部長はコーヒーを置いた。


「うん。どうしたの?」

「明日の午後、また時間休をいただけますか。2時あたりに。また銀行に行きたいので」

「銀行?どうして?」

「この間の手続きで、どうやら私の記入がもれているところがあったみたいで、補正をしに来てほしいと銀行から連絡がありました」

「手続き自体は済んでるの?」

「はい。送金にはなりませんでしたので、大丈夫です。早いほうがいいと言っているので、明日にでも行こうかと。明日の午前中は色々とやることがありまして、午後に時間をいただけないでしょうか」

「そうだねぇ、明日は木曜か・・・うん、大丈夫かな。一人で何とかなるものが多いし」




本部長の口から許可の言葉が出て私はホッと胸を撫で下ろす。

私の言ったことは、全て嘘だった。





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