クールな御曹司の一途な独占欲



「なっ」


牧田さんはすぐに苛立ちを顔に表し、そしてすぐに本部長の背後にいる私にその目を向けた。

「どういうことなんだ」と言わんばかりの責める目をしていて、私は怖くなって本部長のスーツの背中をキュッと掴んでいた。


すると本部長は私のことを背後から正面へと連れてきて、牧田さんと目が合わないように胸の中にすっぽりと抱き締めた。

そのときに見えた本部長の顔は、声色のとおり毒々しい笑みを浮かべていた。

私はされるがまま動けなかった。

ここに収まっていれば、すべて大丈夫な気分になったのだ。


「キミが昔、ハルカの何だったのかは察しがつくけど、それが何だっていうの?・・・うーん、送金がなくなった時点で勘づかなかったのかなぁ?ハルカみたいな良い女が、ずっとキミの面倒を見てくれるわけないデショ。この子を狙ってる男なんていくらでもいるんだよ」

「アンタッ・・・」

「今まではキミはただの勘違いした可哀想な男だと思ってたから放っておいたけど、会社に来て彼女を呼び出したのは完全にルール違反だ。悪いけど、僕は次回からはキミに会いたくないとはっきり土田社長に伝えるよ」

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