クールな御曹司の一途な独占欲
「・・・ほ、本部長。あの、お家は反対方向では?」
「先にキミの家に行くんだよ。送っていく」
「え、いいですよ!そんな・・・」
「あの男がどこかで待っているかも分からない。とてもじゃないけど今日は一人じゃ帰せないよ」
本当は本部長のマンションは会社からすぐ近くなのに、15分ほど電車に乗らなければならない私のマンションまで送ってくれるというのだ。
申し訳なくなってうつ向いて歩いたけれど、これ以上「いいですから」なんてとても言える雰囲気でもなかった。
今日の本部長は有無を言わせない威圧感がある。
私のマンションに着くまでの間、本部長はそれから一言も話そうとはせず、冷めた顔で何かを考えている様子だった。
私もそれに従った。
ただ黙って、今日のことを申し訳ないと思いながら、電車に揺られていた。