クールな御曹司の一途な独占欲
episode4
私のマンションの部屋の前まで着いた。
ドアを背に、ここまでついてきてくれた本部長にペコリと頭を下げた。
「本部長。送っていただいてありがとうございます。・・・・今日はすみませんでした」
「・・・」
どうしたんだろう。
頭を上げても、本部長はそこから動こうとはしない。
代わりにポケットに手を入れたまま、怖い顔で私を見下ろしている。
いつもの本部長の顔じゃない。
「本部長、あの、」
「僕を家に入れない気?」
(えっ)
予想していなかった展開に思わず一歩後退りをすると、冷たいドアに背がついた。
・・・本部長。
送ってくれると言ったのに、最初から部屋に入る気でいたということ?
本部長は一体、何を考えてるの?
パニックになりながら反論の言葉を探し、私はどうにかそれを絞り出した。
「・・・家に入れるとは、約束していません」
「したさ。キミは僕と付き合っていて、こうして僕に送ってもらった。送る前に帰ったら話をするって伝えてある。そしたら普通は家に入れてくれるデショ」
付き合っていることは関係ないけれど、たしかに帰ったら話をするということは約束していた。
あれが約束に入るかは分からないけれど、本部長の言っていることにはこれ以上反論できなかった。
「・・・分かりました。すみません」
だから頷いてドアを開けて、彼を中へと入れたのだ。