クールな御曹司の一途な独占欲
朝片付けたから、部屋は綺麗だった。
もちろんそれでもこの部屋に本部長のような男性を入れることなんて予定外で、心臓は鳴りやまない。
電気をつけ、カバンを預かってリビングに置き、本部長のことはテーブルに案内した。
お茶を淹れますと言って私だけ部屋を出ようとしたけれど、本部長は私の手首を掴んでそれを阻止した。
「え、なんですか、」
手首を掴んだまま、本部長は怖い顔で私を引き寄せると、綺麗な顔をあと数センチというところまで近づけてきた。
「・・・キミはこういうところを直した方がいい。どうしてこんなに簡単に、僕を部屋に入れるんだ」
なんでそんな真剣な顔・・・
「だ、だってそれは、本部長が普通は入れるものだと仰ったからっ」
「僕に抱かれてもいいってこと?」
「そんなこと言ってません!」
「言ってるさ。部屋に入れるってことはそうなっても良いってことだよ。まあ今さら断ったところで遅いけどね」
優しかった本部長がそんなつもりで私の部屋に来たのだと知って、私は蒼白した。
今から本部長が私を抱く。
本当に不思議だけれど、目の前のこの人に抱かれることを想像しても、それに対して嫌悪感はなかった。
ただ怖かった。今の本部長のことが。
「・・・本部長・・・」
「・・・嘘だよ。そんな煽るような顔で怯えないでよ。ちょっと説教しようと思って寄っただけだから。・・・まあ、キミの答え次第では抱くことになるかもしれないケドね」