クールな御曹司の一途な独占欲
「・・・香坂さん。まだ僕はキミと出会ってひと月と少しだ。僕はキミのことが好きだけど、キミに好きになってもらうには短い期間だったと思う」
「時間が経っても、同じです」
「頑なだね。何か僕はキミに嫌われるようなことをしたかな?心当たりがありすぎるけれど」
「そういうことではありません。・・・本部長のことは、そういう対象には見れないんです。分かって下さい」
私がそこまで言うと、お茶はまだできていないが本部長はすぐに立ち上がった。
怒ったかな。
私は震える手でカチャカチャとお茶の準備を続けたけれど、彼がキッチンの私には触れずに玄関へと向かったことで、このお茶は多分飲まれないだろうと思った。
「・・・じゃあ、今日は帰るよ。明日仕事で」
「はい」
玄関まで送って、そこから出ていくとき本部長は一度私の顔を見た。
その顔は真剣で、「諦めないから」と言われているような気がしてドキンと胸が鳴った。
ガチャンとドアが閉まり、足音が消えていく。
私はあまりの熱にガクンとその場に崩れ落ち、胸をグッと抑えた。
ドクン ドクン
あんなに熱烈な告白を受けたのは初めてだった。
あんな王子様みたいな・・・