クールな御曹司の一途な独占欲




今度こそ本当に社長が出ていき、私も脱力して本部長室のソファーに腰かけた。

自分があんなにムキになってしまうとは思わなかった。

しかも社長相手に。



『なんだ、いたのか』

『ええ』

『聞いてたか?良かったな涼介』

『父さんはもう少し僕を信用して下さい』



ドアの外で話し声が聴こえる。

今出ていった社長と、・・・この声は本部長?


──嘘、本部長はいつからそこにいたの?


思わずソファーに沈み込ませていた背をシャンと伸ばした。

こちらからドアの外の会話が聴こえるということは、ドアの外からも中の会話が聴こえたはずだ。

本部長の告白を断ったくせに、ムキになって社長に言い返してしまった私の言い分をどう聞いていたんだろう。


本部長はやがてこのドアを開けてここに入ってくるのではないかと思い、私はソファーから立ち上がり、所在なく秘書室の自分の席へと戻った。

デスクの上に書類を広げて、仕事をしているフリをする。

本当はすべて終わっているものばかりだけど、それを見直すフリをして手元をガサガサと動かし続けた。


やがてガチャ、とドアが開き、予想どおり本部長が中へやってきた。


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