クールな御曹司の一途な独占欲
「酔ってないです・・・」
「酔ってないなら卑怯だよ。それとも僕と付き合ってくれるの?」
「・・・迷ってます」
もう自分でも何を言っているのか分からない。
こんな自分を何とかするまで誰とも付き合わない、ましてやこんなに優しい本部長のことを巻き込んではダメ。
そう思っていたはずなのに決意は簡単に崩れていく。
今ここで彼が帰ってしまうのが悲しい。
駄々を捏ねればここにいて、優しい言葉をかけ続けてくれるかもしれない。
私は自分でそう思ってみて初めて、牧田さんの気持ちが分かった気がした。
「・・・迷ってる?」
「私も本部長のこと、好きなのかも・・・」
繋がっている手に本部長の指も応えてくれて、ギュッと握られた。
そのまま、本部長は私の座っている玄関に片膝をついた。
「・・・本気にするよ?」
彼は分かりやすくネクタイを緩めて、体の重心を私の方に寄せてきた。
抵抗する気も、抵抗する力もなく、私は本部長の吸い込まれそうな瞳を見つめつづけた。
本部長の顔が紅い。