クールな御曹司の一途な独占欲







ランチの時間になり、ホテルレストランの個室へと案内されると、本部長は眉を寄せて私を見た。


「サプライズは完璧なんだけど、香坂さんは肝心なところがリサーチ不足だったようだね」

「え?」


本部長は個室の入り口で立ったままなかなか席につこうとしないので、私はテーブルのコーディネートや窓の外の景色を目視で確認した。

何か問題があっただろうか、本部長の気分を損ねる何かが。

しかしさっぱり分からなかった。

見かねた本部長は、私の手を引いて、対面の席に座らせた後、自分も席についた。


「キミの分のテーブルセットがないよ。グラスも、メニューも」

「私も一緒にいただくことは考えていませんでした。接待も多い本部長ですからたまには一人でゆっくりお食事していただければと思いまして・・・」

「香坂さん。もう一緒にいて1ヶ月になるんだから、僕の好みは把握しといてもらわないと。僕は一人の時間が欲しいんじゃなくて、キミと一緒の時間が欲しいんだ」

「本部長・・・」


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