クールな御曹司の一途な独占欲
先ほどまでお酒を飲んでいたせいで息も熱くて、ほんのりウィスキーの香りがした。
その香りにまた酔いが戻ってきて、意識も思考も遠くなっていく。
「酔って僕のことからかってる?」
「・・・」
「否定してくれないんだね」
否定しなかったのは、どんなに否定しようとも私のしていることは本部長をからかっていることになるからだった。
本部長が私を好きだと言ってくれるからそれに甘えている。
ずっとそのままがいい。
私と付き合って、この優しさがなくなっていって、甘えさせてくれるのではなく甘えっぱなしになる本部長なんて見たくない。
付き合ってこんなに素敵な本部長にもう会えなくなるのは、すごく嫌だった。
「ダメですか、本部長・・・このままじゃ」
キスしてしまいそうな距離のまま私がそう呟くと、さすがに本部長は顔を歪めた。
「・・・キミは本当に魔性だったんだね。ここまでだとは思わなかった」
「・・・ごめんなさい」
「でも、もう僕は帰れそうにない」
そう言って突然握りあっていた手を引っ張られると、本部長の唇が私の唇にじわりとくっついた。
頭の後ろの髪をクシャリと潰されながら押さえつけられて、私はそのまま動けなかった。
「んっ・・・」
体を支えられなくて後ろに倒れてしまいそうになるのを、本部長の背中に手を回して必死に耐えた。
本部長のキスは甘くて激しい。
たまに噛みつくような仕草をされて、巧妙に舌が入ってきた。