クールな御曹司の一途な独占欲


本部長のキスから、私を好きだということだけじゃなくて、私が付き合うと言わないことに対する苛立ちも感じた。

それをキスで私にぶつけている。

私がちゃんと告白を正面から受けていたなら、ここで甘くとろけるような王子様のようなキスをしてくれたのかもしれない。

彼のキスにのめり込みながらそう思った。


「香坂さんっ・・・」


初めて見る本部長の欲情した表情に私もさらに高揚し、キスをやめなかった。


「本部長っ・・・」


やがて繋いでいた手も離して背中に回し、気がつけば私たちは両手でがっしりと抱き合いながらキスをしていた。


ウィスキーの味がする。

なんだかまたそれに酔うように意識も遠くなっていく。


「・・・ハァ・・・香坂さんっ・・・好きだよ・・・・」

「・・・」


『好きだよ』という本部長の妖艶で余裕のない表情を見てから、私は目を閉じた。

全身に力が入らない。

抱き締める力もキスをする力も抜けてくようだった。


「香坂さん?」

「・・・」


嗚呼、もうだめ。


「香坂さん。・・・嘘デショ?」



────おやすみなさい。本部長。




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