クールな御曹司の一途な独占欲
私のしたことも良くなかったとは思っている。
でも本部長も本部長だ。
私のことを好きだと言いつつ、松島さんをあのバーに連れて行ったのだから、やっぱりプレイボーイだ。
結局松島さんに詳しく聞こうとしても『ナイショ』の一点張りで答えてくれなかったけれど、やっぱり松島さんと本部長には何かあったとしか思えない。
だから金曜日のことは私だけが悪いとは思わないし、本部長の言葉が信じられなくなったのだ。
「本日の予定を申し上げます」
「うん」
スケジュールを読み上げるときは本部長のすぐ近くに立つのだけど、今日は大きく距離を取った。
本部長は首を傾げていたけど、私は不機嫌なままだった。
あんなに私のことを好きだと言ってたくせに。
だんだん腹が立ってきた。
魔性なのは自分じゃないか。
どうせ私だけじゃなくて、松島さんや色んな女性を誘っているんだから。
─『香坂さん、好きだよ』─
あんな顔であんな台詞を言うなんて、本部長だって酷い。
仕事中だということを思い出しては、咳払いをしてスケジュールを読み上げた。
コンコン
「はい」
ちょうどスケジュールを読み終えたタイミングで、本部長室の扉がノックされた。
『入るよ』
社長の声だ。