クールな御曹司の一途な独占欲
よくもまあこんな歯の浮きそうな言葉がポンポンと出てくるものだ。
松島さんのことといい、ただの秘書の私にもこんなことを言うのだから、生粋のプレイボーイに違いない。
コホンと咳払いをして、私はウェイターを呼んだ。
「同じメニューを私にもいただけますか?無理でしたらご用意できるコースで構いません。」
ウェイターがシェフに掛け合ってくれて、同じコースを用意してもらえることになり、同じテーブルセットを持ってきてくれた。
それを見て本部長は満足そうにニコニコとしている。
「キミの分は僕の奢りだよ」
「なんだかそれでは本部長のお誕生日をお祝いしたことにならない気がするんですが・・・」
「なるさ。キミにこうやって僕と顔を合わせて食事をしてもらえるなんて最高の誕生日だよ」
そんなことならいつでも言ってもらえればご希望に沿えるのに、と考えたけれど、それではただのデートだ。
秘書の範囲を越えている。