【完】『龍の倅(せがれ)』
そこで、と家光は、
「どうじゃおやじどの、この家光が仲立ちをいたすゆえ、どうか勘当を解いてはもらえまいか」
と、秀宗の件について政宗に言ってきたのである。
「しかしながら若様、これは伊達の家中の話にて」
「おやじどのは、この家光では仲立ちの役は不足と申したいのか」
さりげない言い方ではあるが、このあたりは若いだけに容赦がない。
「さにあらず」
「ならば何が不満か申してみよ」
これには政宗も返答に詰まったらしい。