【完】『龍の倅(せがれ)』
この様子には仙台側の家来として葬儀にたずさわっていた古内志摩や伊東采女、また秀宗に随行していた松根図書や小簗川十蔵などは唖然としたが、
「みな、愉快な顔をしておるのう」
とだけ言うと秀宗は平然とした顔つきであった、という。
この言動は、賛否が割れた。
「あれは殿に対する非礼であろう」
と激する者もあったが、
「あれで兄上の気が済むなら気にはならぬ」
とのみ忠宗は言い、秀宗の下座に座った。