【完】『龍の倅(せがれ)』

幕末になると形勢は一気に変わった。

九代目にあたる宗城(むねなり)が、西洋式の蒸気船を作らせたり、開港したあとやってきたイギリス公使を宇和島へ招いたりするなど、独自の政策を執り始めたからである。

一方の仙台伊達家では。

宿老の但木土佐を上洛させるなど、かなり敏感な行動は取っていた。

が、大政奉還のあと新政府から派遣された世良修蔵の傲慢な言動が原因で、

──世良を消せ。

という一部の過激派による暗殺事件が出来した。

これにより。

一気に仙台藩の論調が幕府派へ転換したことがきっかけとなり、宇和島伊達家と仙台伊達家は、敵味方に分かれたのである。



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