【完】『龍の倅(せがれ)』

それまで宇和島を治めていたのは藤堂家で、とりわけ当主の藤堂高虎は親分肌というか豪気な面があって、

「そうか、よそで取り立ててもらえぬならうちで仕官いたせ」

などといって働かせ、実際よく功を樹(た)てると、

「そなたに褒美をとらそう」

といい気前よく褒賞を取らせる。

その気風もあって、藤堂家で治めていた頃は城下もどことなく明るかったが、今は違う。

「殿様が変わると、町はかくも変わるものか」

というのが、偽らざるところでもあったらしい。



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