【完】『龍の倅(せがれ)』
つまり、
「宇和島をしっかり押さえて、いざというとき忠義を尽くすように」
といったような意味合いを含んでいる、と秀宗は見ていた。
さらに。
そこは政宗も気がついていたようで、
「宇和島に着いたらば、海に向けて砲台を築いておくように」
と清兵衛に政宗は言い含めてある。
これは仮に船で攻めかかられた際に大砲で応戦せよ、という政宗の戦略に他ならない。
そうなると海沿いの石垣の補修なんぞ、大砲を前では意味をなさない。
清兵衛なりの見立てといって、差し支えはない。
が。
玄蕃は違う見方をしていた。