【完】『龍の倅(せがれ)』
長曽我部の残党、というのはかつて四国を席巻した長曽我部元親の家来であった者たちのうち、一領具足と呼ばれた下級の郷士たちのなかで、くすぶっていた連中のことであった。
というのも。
土佐に入った山内家では、六万石から二十四万石へと大幅に加増され、家来が明らかに足りないにもかかわらず、長曽我部系の家来はほとんど雇わなかった。
そのため。
仕官の口を失った郷士たちは、国境の山奥に隠れ住んだり、伊予や阿波など国抜けをして暮らしたり…と、さまざまな暮らしぶりをしていたのである。