【完】『龍の倅(せがれ)』

船が佐田の岬を越えて宇和海に入る頃には、領内へも国入りの話は伝わっていた。

宇和島では。

国入りを出迎えるべく、清兵衛が支度の陣頭の指揮を執っている。

それを横目に、

「もうすぐ腹を切らされるやも知れぬと言うに、なんともめでたいことよ」

と桜田玄蕃は冷ややかに言った。



< 61 / 120 >

この作品をシェア

pagetop