【完】『龍の倅(せがれ)』

「仮に噂であっても、火のないところに煙は立たぬゆえ、このままでは血を分けたどうしの戦となろう」

確かに。

宇和島伊達家の家中は仙台の次男三男などから分かれ、家来として四国へ渡った者も数多ある。

主君も家臣も親兄弟という理窟となり、それぞれが敵味方となる。

桑折左衛門もおじやいとこと敵になり、これでゆけば柴田外記も甥が敵となる。

それだけは、避けたかったらしい。



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