after5はお手っ
久しぶりのケーキ屋さんでは、オーナーが笑顔で出迎えてくれた。
どうやら私のあと、新しいバイトが入らなくててんてこ舞いみたい。
「誰かいい子知らない?由枝ちゃんがいた時にさあ、よく来てくれるケーキ好きの子いたじゃん、あの子どうかなー」
ヒロトくんの事だ。
サービスで出してもらったアイスティーがのどに詰まりそうになる。
「今スイーツ男子流行ってるし、イケメンだからお客さんも呼べると思うんだよね。後輩だったんでしょ、今あの子何してんの?」
私のペットなんです・・
「他でバイトしてるから、ちょっと難しいかも」
なんとか誤魔化すと、オーナーも別に本気で言ったわけでなないらしく、そっかーと一言で終わる。
私たちの事を知ったらビックリするだろうなと思いながら、いくつかのケーキを買ってお店を出た。
最初に出会った日にお母さんに買っていったフルーツのタルトと、次の日ヒロトくんが自分で選んだブラウニー、そして新発売らしい小ホールのイチゴ。
記念というには大げさだけど、このお店のケーキこそ、私たちが出会ったきっかけだから。