after5はお手っ
体制を変えて、正面からヒロトくんを抱きしめる。
やがて回る腕のぬくもりに合わせ、この前のように、頬にキスをする。
ペコにしていたという言葉が通じてるのか、黙ってされるがままのヒロトくんに問いかけた。
「ヒロトくんはしてくれないの?」
酔ったふりとはいえ、唐突過ぎただろうか。
明らかにきょとんとし、固まるヒロトくんに、ヤバいと焦りが沸いてくる。
「ぺ、ペコはよく舐めてくれたから」
だからって自分から舐めてだなんて、変態じみたおねだり・・恥ずかしくて身体中が熱くなる。
体中を伝い始めた汗がヒロトくんにもわかってしまったんじゃないかと危惧したその時、唇が重なった。
「あ・・」
ちゅっと触れ合った後、ヒロトくんが舌を出す。軽く舐められ、目を閉じる。
おずおずと口を開くと、そのまま中へと滑りこんだ。
髪や、耳元、お互いにぺたぺたと触り合いながら、深くなっていくキスに、どうしようもなく胸が高鳴る。
今までの癒しや和みの感情とは程遠く、窒息しそうなほど息苦しいのに、幸福感だけが増していく。
こんなことは初めてだった。
何度も重ね合いながら、やがて、やんわりと床に向けて身体が倒されていく。
この一瞬で覚悟が決まった。
唇が離れ、真上にいるヒロトくんと見つめ合う。
潤んだ瞳の中にいる私が、再び目を閉じかけた時――・・
「わんっ」
現実に引き戻す鳴き声が響いた。