メガネ地味子の隠した事情
「何度かすれ違ってるうちに声で一ノ瀬だって分かってさ。それから何かと気になってたんだ。だから最近はどんな格好でも一ノ瀬が分かると思うよ。」

そう言う高山くんは少し照れたような顔をしつつもきちんと分かった理由を話してくれた。


「そうなんだ。そんなに夏休み中にすれ違ってて気付かれてるとは思わなかったからびっくりした。」

そう素直に言うと


「そうだろうな。俺達とすれ違っても一ノ瀬達は全然気にも止めてなかったからな。３人でいつも楽しそうにしてたし。」

そう言う高山くんは少し複雑そう


「何か気にさわる事でもあった？あ、これ辞めた方がいい？」

服を摘んで聞いてみると


「「「今更何だと思うかもだが、辞めなくていい！！！！」」」


と言う男子の叫びが聞こえてきた


「大丈夫だ、一ノ瀬。似合ってるから着替えなくていい。野郎共もそう言ってるだろ？」


複雑そうな表情は無くなったが今度は後ろの男子達に苦虫を噛み潰したような表情を見せて


「お前らちょっと俺と話そうか？」


そう言って男子を端に集めて行った。


高山くんの表情は背中向けられちゃったので見えなかったけれど、声を掛けられた男子達は軒並み固まっていた。

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