短・いつかこの丘で抱きしめて
島の住民が少ないからかもしれないけど、この丘にはほとんどと言っていいほど人が来ない。
だから、人の気配をすぐに感じ、振り返った瞬間………驚きを隠せなかった。
「みんなをうるさくさせちゃってごめんね?」
1つだけ置いてあるベンチの後ろから現れた男の子。
自然と目が合った。
胸の奥が熱くなるのが………わかった。
「えっと………」
「あれ?もしかして、ほんとに俺のことわからない?」
「……はい」
自分の声が震えてないか気になってしまう。
初めての身体の反応に、ついていくことができない。
男の子はクスッと笑いながらベンチを跨ぎ、どんどん私へ近づいて来た。
え?え?なに?