マドンナリリーの花言葉
「脱ぎます」
「ちょっとローゼ、やめなさい」
「でも、私なんかがこんな格好しているの失礼です。止めないでくださいませ、エミーリア様」
「ディルクのいる前で脱いじゃダメよ」
「ですが!」
パニックになっているローゼはエミーリアに対しても言い返している。
ディルクは我に返り、彼女の手首を強くつかんだ。
「脱ぐな。というか、落ちつけ。……似合っているんだからそのままでいい」
ローゼは驚きで目を丸くした。エミーリアは「そうよねっ」と声を明るく同意したが、ディルクに静かな目を向けられ、メラニーと顔を見合わせて黙った。
「話があるんだ、ローゼ。……エミーリア様、ローゼをお借りしても?」
ローゼの手を取ったままディルクはエミーリアを見る。彼女はクスリと笑うと茶化すように続けた。
「いいわよ。ただし、そのドレス、脱がせちゃだめよ?」
「そんなことはしません。……失礼します」
手をぐいぐい引っ張って、戸惑うばかりのローゼを無理矢理廊下へと連れだし、空いている客間のひとつを見つけて入った。