マドンナリリーの花言葉
*
目が覚めた時、ローゼは東の宮の二階にある客室のベッドの中だった。
起き上がってあたりを見回す。豪華なシャンデリアに明るいクリーム色の壁紙。壁には直角の位置に扉がふたつある。どうやら続き間がある部屋のようだ。
部屋の中には誰もおらず、ローゼは立ち上がって続き間への扉に近づく。
聞き耳を立てると、どうやら中には数人がいるようで漏れ聞こえてくる声がにぎやかだった。
小さく扉を開けて気配を伺うと、「目覚めたのか?」というディルクの声がする。
安心して大きく扉を開けると、彼よりも先にエミーリアが飛びついてきた。
「ローゼ! 大丈夫? ごめんなさいね、私が目を離したばっかりに」
「エミーリア様。私こそ申し訳ありません。絶対離れないように言われていたのに……」
「そうね。それに関しては怒っているわ。なぜ私にひと言も言わなかったの?」
「身分をばらすぞと脅されたのです……」
ローゼは肩を落とし、シュンとなる。大好きなエミーリアに迷惑をかけたと思うと気持ちは沈むばかりだ。
エミーリアは苦笑し、ローゼの頬を軽くたたく。
「怒っているなんて嘘よ。無事でよかったわ、ローゼ」
優しい言葉に、ローゼの目には再び涙が浮かんでくる。
「ローゼ、体におかしなところはないか?」
エミーリアの後ろから、気遣うように声をかけてくれるのはディルクだ。
彼の熱っぽいまなざしを受けて、ローゼの顔が一気に火照ってくる。はたして先ほどの告白は夢か現か。混乱しているローゼには分からなくなっていた。
目が覚めた時、ローゼは東の宮の二階にある客室のベッドの中だった。
起き上がってあたりを見回す。豪華なシャンデリアに明るいクリーム色の壁紙。壁には直角の位置に扉がふたつある。どうやら続き間がある部屋のようだ。
部屋の中には誰もおらず、ローゼは立ち上がって続き間への扉に近づく。
聞き耳を立てると、どうやら中には数人がいるようで漏れ聞こえてくる声がにぎやかだった。
小さく扉を開けて気配を伺うと、「目覚めたのか?」というディルクの声がする。
安心して大きく扉を開けると、彼よりも先にエミーリアが飛びついてきた。
「ローゼ! 大丈夫? ごめんなさいね、私が目を離したばっかりに」
「エミーリア様。私こそ申し訳ありません。絶対離れないように言われていたのに……」
「そうね。それに関しては怒っているわ。なぜ私にひと言も言わなかったの?」
「身分をばらすぞと脅されたのです……」
ローゼは肩を落とし、シュンとなる。大好きなエミーリアに迷惑をかけたと思うと気持ちは沈むばかりだ。
エミーリアは苦笑し、ローゼの頬を軽くたたく。
「怒っているなんて嘘よ。無事でよかったわ、ローゼ」
優しい言葉に、ローゼの目には再び涙が浮かんでくる。
「ローゼ、体におかしなところはないか?」
エミーリアの後ろから、気遣うように声をかけてくれるのはディルクだ。
彼の熱っぽいまなざしを受けて、ローゼの顔が一気に火照ってくる。はたして先ほどの告白は夢か現か。混乱しているローゼには分からなくなっていた。