マドンナリリーの花言葉

「ディルク様、あのっ」

「なんだ?」

「ごめんなさい。嬉しいんです、本当は。素敵な色だし、柔らかくて暖かくて……」


ディルクの背中が小刻みに揺れ始める。ローゼは不審に思って彼の前に回り込んだ。
すると彼は思い切り噴き出してしまった。ローゼの顔に再び血が集まってくる。


「ひどい……! 落ち込んでなんかないんじゃないですか!」

「そんなことはない。ただ、慌てて弁明し始めるからおかしくなってきただけだ」

「嘘、私が慌てているの、楽しんでいるでしょう」

「まあ否定はしない。俺は君のいろんな顔を見ているのが楽しいからな」


ディルクは右手でローゼの顔をあげさせ、熱のこもった視線を向けた。


「……だが一番は、笑った顔が見たいんだが」

「えっ」

「少しでも嬉しいと思うなら、笑って受け取ってくれないか」


ケープのことを言われているんだと気づいて、ローゼは柔らかなそれを握りしめる。そして、今更改まってと恥ずかしく思いながらも「……ありがとうございます」と礼を言った。

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