マドンナリリーの花言葉
「いや、だって。その程度で罪の意識を感じるというなら見くびったかな。……パウラ殿。俺はその程度の嘘はみんなについている。第二王子という立場は非常に微妙だ。権力を求めるものには格好の餌なんだよ。奴らに見くびられない程度には賢くあらねばならないし、病弱な第一王子を追いやるほど有能でもいけない。うつけ者だが思い通りにはならない、その立ち位置を俺はこれからも維持し続けなければならない。俺が求めているのはそれをともに出来る女性だ。人を騙す? 結構じゃないか。何事も笑顔で受け流し、だが人には左右されない。そのくらいの意思の強い女性でなければ、俺の妻は務まらないよ」
そしてクラウスはそっとパウラの腰に手をやる。
「だから君がいいと言っているんだよ。まあ断られたところで、俺は諦めないけどね。フリード殿、今回の件が片付くまで、パウラ殿を預けてもいいかい? その間に口説き落とすことにするよ」
まだ怪訝そうな顔をしたままのパウラの額にキスをして、クラウスはフリードのほうへ振り向く。
「はあ。私のほうは構いません。ローゼもパウラ殿と積もる話もあるでしょうし」
フリードは頷き、ディルクの腕にしがみつくようにしていたローゼに目をやる。