マドンナリリーの花言葉


「しかしな。クラウス」

「家柄の良い正妻を貰ったところで、俺は抱きませんよ。子が出来なきゃどうにもならないでしょう」

「おい、クラウス……!」

「申し訳ありません……!」


あけすけな発言を繰り返すクラウスに、呆れた声を出す国王、そこに、謝罪の声を差し込んだのは、なぜか王太子妃のクリスティアーネだった。


「たしかに私には子ができませんわ。でも……ひどい」


立ち上がり、目に涙をため、そのまま背中を向けて謁見室を飛び出した。


「クリスティアーネ!」


フェリクスは椅子から体を持ち上げたものの、追いかけはしなかった。数回咳を繰り返した後、体を預けるように椅子に座り「すみません。彼女の責任ではないのに、跡継ぎができないことを気にしているのですよ」と謝罪までする。

パウラはひそかにクラウスを睨んだ。

取りようよっては、クリスティアーネへのあてつけとも取れる発言をしているのだ。しかも、クラウスの場合、無自覚でやっているとは思えない。


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