マドンナリリーの花言葉
「ディルク? これって逆じゃないですか? 私が膝枕するなら分かるけど、……あれ? あれ?」
「君も疲れただろう。留守番、ありがとう」
優しいまなざしでそんなことを言われたら、ローゼは嬉しすぎて何も言えなくなる。
たかが留守番だ。ディルクがしているすべての仕事から比べたら、本当に大したことはない。
だけどローゼはこの二日間、不安でいっぱいだった。今までは困ってもすぐディルクが助けてくれたのに、いないのだ。後ろを振り向いて無意識に彼の姿を探すことが何度もあった。
それをわかってくれているのだと思ったら、胸の奥が熱くなってくる。
「……寂しかったです」
「やはり今日戻ってきてよかった」
目を細めて、ディルクはローゼのピンクブロンドを撫でる。
優しい手が嬉しくて。だけど同時に少しだけ申し訳ない気もしていた。
いつだってローゼは守られてばかりで、彼のお荷物になってしまっているから。
「私、あなたに頼ってばかりでごめんなさい」
「そうかな。君は使用人の名前も全部覚えているし、使用人たちとも親しくしている。この屋敷の柔らかい雰囲気は俺には作れないものだ。君の力だろう」
「でも、ヨーゼフさんにも、もっと毅然としているように言われてしまって」
「毅然……ねぇ」
ディルクは考えをまとめるように上を見て、ゆっくりとローゼに視線を戻す。