マドンナリリーの花言葉
*
ディルクが応接室に入ると、対面のソファの片側にフリード、もう片側にエミーリアとギュンターという並びで座っていた。
フリードはディルクを見つめてホッとしたように立ち上がる。
「すまないな。飲み物を貰えるか」
「はい」
「だからね。お兄様にどんな理由があろうと、お義姉さまはローゼを連れて帰ったら悲しむわ。お義姉さまはただでさえ遠くのベレ領からお嫁にきて寂しいのよ。分かってる?」
任せると言った割に、いまだにくどくどと兄に絡んでいるのはエミーリアだ。
フリードに促され、ディルクはそっとブランデーの水割りを全員の席の前に置いた。
「お兄様がお義姉さまを大切にしてるのはわかるけど、もう少しお友達を作ってあげたほうが……」
ぐいっと水割りをあおったエミーリアは、びっくりしたように瞬きをした。
「これ、お酒?」
「夜長の話だからな」
フリードが答えるとエミーリアは恨めし気に睨む。
「フリード、謀ったわね」
「君の気持ちは分かったけど、俺にも少し話をさせてもらわないとね。こっちにおいで、肩を貸そう」
「……ずるいわ」
エミーリアがお酒に弱いのはどうも本当らしく、あっという間に頬は赤く染まり、目がとろんとしてくる。
ふらりと立ち上がり、フリードの隣に座ったエミーリアは、しばらくすると瞼の重さに耐えきれなくなったように目を閉じる。
すぐに寝息に変わる奥方を、フリードはいとおし気に見つめた。
ディルクが応接室に入ると、対面のソファの片側にフリード、もう片側にエミーリアとギュンターという並びで座っていた。
フリードはディルクを見つめてホッとしたように立ち上がる。
「すまないな。飲み物を貰えるか」
「はい」
「だからね。お兄様にどんな理由があろうと、お義姉さまはローゼを連れて帰ったら悲しむわ。お義姉さまはただでさえ遠くのベレ領からお嫁にきて寂しいのよ。分かってる?」
任せると言った割に、いまだにくどくどと兄に絡んでいるのはエミーリアだ。
フリードに促され、ディルクはそっとブランデーの水割りを全員の席の前に置いた。
「お兄様がお義姉さまを大切にしてるのはわかるけど、もう少しお友達を作ってあげたほうが……」
ぐいっと水割りをあおったエミーリアは、びっくりしたように瞬きをした。
「これ、お酒?」
「夜長の話だからな」
フリードが答えるとエミーリアは恨めし気に睨む。
「フリード、謀ったわね」
「君の気持ちは分かったけど、俺にも少し話をさせてもらわないとね。こっちにおいで、肩を貸そう」
「……ずるいわ」
エミーリアがお酒に弱いのはどうも本当らしく、あっという間に頬は赤く染まり、目がとろんとしてくる。
ふらりと立ち上がり、フリードの隣に座ったエミーリアは、しばらくすると瞼の重さに耐えきれなくなったように目を閉じる。
すぐに寝息に変わる奥方を、フリードはいとおし気に見つめた。