マドンナリリーの花言葉

「ああ。顔色はよくなったな。薬が効いたか?」

「薬……あれはディルク様が?」

「たまたま薬師に会ったからもらっただけだ。ノックをしたんだが返事がなかったから……勝手に部屋に入って悪かった。それにしても今更仕事などないぞ。今日はぐっすり休んで明日から元気に働いてくれればいい」

「そうじゃないんです。ジルケから聞いたんですが、私が侍女にって……どうしてですか?」


ディルクは驚いた顔をして彼女を見つめる。


「もう伝わっているのか。……君を侍女にするという話は確かにあるよ。フリード様の命令だ」

「じゃあやっぱり私、愛人にさせられるんですか?」


一気に半泣きになるローゼに、ディルクは苦笑する。そしてほんの少しの悪戯心とともに、ため息とともに助言をする。


「仮にそうだとしても、相手はベルンシュタイン家の跡取りだ。加えてギュンター様は有能で国王陛下の覚えもいい。損はないと思うぞ。愛人になれば実家の支援もしてくださるだろう」

「嫌です、そんな……相手の奥方様に失礼ですし、……私にも失礼です」


しかし、ローゼは膨れたままだ。拗ねたように目をそらし、ぼそりとだが自分の主張を続ける。


「……くっ、ははっ」


突然頭の上から笑い声が聞こえて、ローゼは顔を赤くしたままディルクを睨む。


「私は真剣に悩んでいるのに! 笑わないでください」

「いや。たしかにそうだな。君は案外プライドが高い」

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