ピュアな心を持つヒロインが恋に落ちたのは、けっして振り向いてはくれない壮絶な過去を持つ男性――
真面目で堅実なヒーローの心が少しずつ解きほぐされ、恋心が芽生えていく様子が丁寧に描かれていて、じわりじわりと吸い寄せられるような前半、そして陰謀と策略に翻弄される怒涛の後半。
ファンタジーの中にもリアリティのある、壮大な物語でした。
圧倒的な世界観に彩られた、ただの恋愛物語では終わらせない人間ドラマが本作品のクオリティをぐっと引き上げています。
この作品だけでも十分おもしろいですが、三作に渡って張り巡らされた伏線がひとつの結末をむかえる様は圧巻。
……個人的には、飄々とした第二王子さまのオイシイところをかっさらっていく策士家ぶりが好きで、そんな彼なりのハッピーエンドも素敵でした(*^^*)