マーケット部政談





「どうしたの? ホウキとチリトリがロッカーに入ってるでしょ?」



花子さんは、ロッカーまで歩……じゃなくて、浮遊して行き、ロッカーのドアを手を使わずに開け、そこからホウキとチリトリをまた手を使わずに取り出した。



「すごい便利な能力ね。じゃあ、掃除しながらいろいろやってもらおうかしら。伝票整理もしてもらえる? 机の中に入ってるから。あと、売り物の整理もよろしく。」



しかし、花子さんはまたおどおどしたまま動かない。



「どうしたの? 早くやりなさいよ。何のためにここに来たの?」



「……手の数しか操れない。」



「え? 何? じゃあ、触れずに動かせるだけで、手を使ってることと同じってこと? 不便ね。まあ、いいわ。掃除よろしく。それから、終わったら伝票整理、売り物の整理ね。」



花子さんは床を掃き始めた。



「ちょっと待って! 何やってるの? ゴミが落ちてるところを見つけて、ホウキでチリトリに入れてたら、いつまで経っても終わらないわよ!」



「じゃあ、どうしたら……。」



そんなこともわからないの? 端から掃いて、それから最後にまとめるの! チリトリはまだいらないから置いておいて! ああ、ほら、なんでチリトリのゴミを戻すの! 取ったんだったら、そのまま置いておけばいいでしょう!」



すると、花子さんは俯いて泣き始めた。



「泣くんじゃないの! おばけでしょ? ……ああ、ごめんごめん。おばけって言ってごめん! いいから、早くやりなさい!」




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