マーケット部政談
「何がダメなのだ?」
「あ、いえね? もし大工さんだったら、屋根や床を修理してもらおうとか、そういうことを考えていたんですけど、絵師は……。」
すると、おじさんは、目を輝かせた。
「小娘……。」
「遊美です。」
「遊美ちゃんとやら、お前、いいことを言ったな! よし、ワシが絵を描いてやろう!」
この人、本当に何なんだ。
「結構ですよ。そりゃ、ラッセンとかだったら売れるでしょうけど、あなたみたいに有名じゃない人の絵なんて売れませんよ。それに、書いてもらおうにも何もないですよ!」
「まあ、そう言うな。あ、そうだ。この壁に書いてやろう。ちょうど白い。」
「やめてくださいよ! 私たちがおばあさんに怒られます!」
「いいから、いいから。ほら、ここに墨があるから、筆と硯を持って来い! さあ、気が変わらんうちに!」