マーケット部政談
円お姉ちゃんの手腕と、壁から抜け出るインコの絵によって、民宿は大繁盛した。
ネットでは、「インコの宿」なんて呼称までついて、テレビ局が取材に来るほどの大盛況だった。
そんなある日、一人のおじいさんがインコの壁が描かれている部屋に泊まりに来た。
「これが噂のあの絵かのお?」
「はい、そうです。」
おじいさんは、壁の絵を見、私は手慣れた手つきでカーテンと窓を開けた。インコはいつものように、壁から抜けて、電線に止まり、そして、壁に収まる。
「ほお、なるほどのお。」
おじいさんは、そう言ったけど、特に驚きもしなかった。
それどころか、とんでもないことを言った。
「この絵には、不足があるのお……。」