マーケット部政談





そんな購買部の前に、見たこともないような行列だ。一体、何があったのだろうか。



「さあさあ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい! 購買部では、新しく電化製品を取り扱うことになりました。スマホ、パソコン、イヤホン、テレビまで何でもありますよー! しかも、どれも街の電気屋の半額の値段! さあ、買った買った!」



な、なんだって!?



あの、購買部が、駅の売店に文房具を付けたような物しか売って来なかった購買部が、電化製品を売るようになったなんて。



「お、キミ、マーケット部だね?」



購買部らしき、一人の男子に話しかけられた。



「そうですが……。」



「売れ行きはどうだい? まあ、僕たちほどじゃないだろうけど。」



「へえ、まあ……。」



「その調子だと、まずいんじゃないのかい? こりゃ、マーケット部がなくなるのも時間の問題だね。」



「そうみたいですね。」



私は、購買部を後にした。



嫌味くらい別に構わない。私は、元々、マーケット部に対してそんなに愛着を持っていない。愛着を持っていないから、購買部に勝とうが、負けようがどっちでもいい。




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