マーケット部政談





「昨日、旦那さんが飲み会に行っていて、良子先生は一人だったんだ。」



「なるほど……それで?」



「夜中のことだ。ガサゴソ物音がする。良子先生は、目ざとい。パッと目を覚ました。すると、雲を突くような大男。思わず、『泥棒ー!』と叫んだ。」



「はあ。」



「しかし、泥棒の方は時代染みているようだが、腰に日本刀を1本差していた。それをギラリと引き抜いて、良子先生の首元に切っ先をくっつけて、『静かにしろ!』と言った。」



「日本刀で? はあ。」



「ところが、良子先生は腕に覚えがある。これやってただろ?」



そう言って、先生は、刀を振る真似をした。



「ああ、そうそう。なんでも、剣道5段だとかで。」




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