マーケット部政談





「実は、僕は、とあるお屋敷でとあるお方にお仕えする執事なんです。」



「へえー、執事さんなんだ! なんか、カッコイイですね!」



「で、今日、お仕えしているお方からの遣いで、500万を持って帰る途中だったんですが……その途中で、人とぶつかって……気が付いたら、その500万がそっくりなくなっていたんです。」



「はあ、スリですか……それはツイてなかったですね……で、そのお仕えしてる人は、怖い人なんですか?」



「そんなことはありません! 人の気持ちがわかる、とても心の優しいお方です。」



「じゃあ、わけを話せば、きっと許してくれますよ! ね? だから、わけを話して、謝ってみましょ? ね? 死ぬのは、許してくれなかった後からでもいいじゃないですか。」



すると、男の人は、よろよろと立ち上がった。



「そ、そうですね……わかりました。そう話してみます……ありがとうございました。」




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