マーケット部政談
つまずいて、盛大に転んでしまった。
あんぱんが散らばった真ん中に倒れた私。痛い。膝強打。痛い……くそっ……。
「ひ、人殺しィィィィ!!」
「おーい、なんだ? 人殺しだって? 相手は?」
「あ、相手はあんぱん!」
「……何言ってんだ、お前。」
振り向くと、そこには一人の男子が立っていた。制服を着崩していて、Vネックの赤いシャツ。首にはチョーカー。耳にはピアスを開けている、どっからどう見てもチャラいヤンキー。
「……ごめんなさい。跳ねます。」
「おいコラ、人を見た目で判断すんな! ほら、オレも手伝ってやるから、早くそのあんぱん拾え。グズグズしてっと盗られっぞ。」
そう言って、ヤンキーはあんぱんを拾うのを手伝ってくれた。なんて優しいヤンキーなんだ! 優男ならぬ、優ヤン。