マーケット部政談
「ん? このあんぱん……。」
優ヤンが手に持ったあんぱんと私とを交互に見た。
「ああ、そうか。昨日、マーケット部ラインで部長が言ってた新入部員は、お前か。」
マーケット部? 新入部員? ってことは、まさかこの優ヤン……。
「マーケット部の人なんですか?」
「そうだよ。オレは、桂 春樹(かつら はるき)だ。2-2。お前は?」
「ウッス! 志麻 遊美ッス。1-6ッス。夜露死苦ゥゥゥゥ!」
「あ、いや、だから見た目で判断すんなって……。」
桂さんは、頭を掻いた。
「こうやってこのあんぱん売ってるってことは、今日、当番なんだな。まったく、部長も酷いよな。新入部員にいきなりあんぱん売らせるか、普通。」
私もそう思う。
「よし、わかった。ここで会ったのも何かの縁だ。今日のところはオレが売りさばいてやるよ。」
「え? 売りさばくって、あんぱんですよ? 菓子パン人気ワースト1のあんぱんですよ? 売れるんですか?」
「まあ、見てなって。」
そう言って、桂さんは大きく手を二つ叩いた。